top of page
転生_02.png
転生_01.png

不要とされたものに
新たな価値を見出し
転生させ、繋いでいく

大量生産・大量消費を前提とする現代。私たちの生活の中にも日の目を浴びなくなった物たちが至る所に転がっています。その物達が輝きを取り戻し、再び日常にそっと溶け込めるように__。今回は、そんな想いを胸に活動する3名の作家さんをお迎えし、『転生したら⬜︎展』と題し、グループ展を開催することとなった。

「転生」という言葉を使うことには、現代の価値観や文化、問題にリンクする部分があると考えた。リサイクルやアップサイクル、サスティナブルという概念が社会で注目される中、「転生」は、物事を再生させる過程、あるいは新たな価値を生み出すという意味で上手く結びついているように思う。近年流行りの異世界転生物語では、主人公が新しい世界で生き直し、新たな役割や可能性を見つけ出すという点が、テーマとなることが多い。それと同じように、リサイクルやアップサイクルでは、既存のものを再利用して新しい命を吹き込む、つまり「転生」させるというプロセスが重なる。今回のグループ展『転生したら⬜︎展』は、そんな背景の元名付けられた。

転生_03.png

《ミルクぱく子》さんは、かつて何も特別ではなかった、牛乳パックや豆乳パックに「鞣(なめ)し」という加工技術を施し、まるで革のような質感へと生まれ変わらせ、バッグや、コインケース、ポーチバッグなどを制作している。まず、牛乳パックや豆乳パックから日常アイテムへと生まれ変わらせるというアイデア力に驚く。他資材(エアパッキン)と組み合わせたり、牛乳パックのパッケージを上手く残しつつデザインしたりと、細やかな工夫が施され、誰もが一度は手にしたことがあるからこそ、この変身の姿に驚きつつ、何気ない日常の中に埋もれているものに対して新たな視点を提供してくれる。*鞣(なめ)し…動物の皮を加工して革(レザー)にする技術や工程のこと。

転生_04.jpg

《gagu》さんは、海岸で拾い集めたゴミたちに樹脂でコーティングを施し、キーホルダーやマグネットへと生まれ変わらせる。さらに、古着を再構築した一点物の雑貨を展開する。
能登地方の海岸を中心に集められた海ゴミは、他国の言葉が入ったものや誰かの忘れ物などさまざま。その物の形はそのままに留め、ダイレクトに作品へと生まれ変わらせているからこそ、単なるゴミではなくアートとなる。また、どのような経緯でどのような物語を経て、この土地に流れ着いたのかと想像力を掻き立てられる面白さも兼ねる。

転生_05.png

《TRUE BLUE》さんは、沖縄・古宇利島を拠点に、海洋汚染の原因となっている海洋プラスチックゴミを世界中の人々と協力しながら回収。それらをアート作品や生活雑貨へと生まれ変わらせている。海洋汚染という環境問題に立ち向かいながら、同素材を日常に溢れるものに昇華させる活動は、自然と人々との関わり方に対する深い洞察をもたらし、作品はまるで海面を反射しているかのような繊細な色合いを持ち、まさに自然の中に生まれた作品と言えるでしょう。プラスチックから制作されたとは思えない輝き。アップサイクルを身近に感じて欲しいという思いからワークショップも開催し、拠点を増やしながら、海を守る活動を続けている。

転生_06.png

今、私たちが使い捨てているものや無意識に消費しているものが、別の形で再生されることで、新たな命を得る。そうした循環が、この展示のテーマである「転生」に重なります。3名ともに共通して言えるのは、それぞれ異なる背景を持ちながらも、彼女らが「廃材」や「無駄にされるもの」に新たな価値を見出し、その価値がどこにでもある、日常の中の美しさに繋がるという点です。環境問題やサスティナブルなど難しく考えるだけでなく、「物の命を無駄にしない」という思いを持ちながら、楽しく作品を制作し、『また誰かの手元で輝けるように』そう願っている。この展示を通じて、一人一人がどんなものにも価値があるということを再認識し環境への意識を高めるきっかけとなれればと思う。

転生_07.png

ミルクぱく子

牛乳パックから転生

誰もが一度は手にしたことのある牛乳パック。

牛乳パックに「鞣し」という魔法をかけ、

まるで革のような質感を纏った「牛乳パックの布」。

牛乳パックと豆乳パックを使いバッグ、コインケースやポーチバッグなど

日常に寄り添うアイテムを制作しています。

gagu

​海ゴミから転生

海や川で拾い集めたゴミたちを樹脂でコーティングし、

キーホルダーやマグネットに転生させています。
また、ダメージのある古着を素材に多様なカットワークで、カバンや洋服なども制作。
生活の陰に忘れらてしまった物の美しさを多くの人に感じてもらいたい。

海洋プラスチックゴミから転生

TRUE BLUE

沖縄・古宇利島を拠点に、海洋汚染の原因となっている海洋プラスチックゴミを世界中の人々と協力しながら、アート作品、生活雑貨に生まれ変わらせている。
誰もが気軽に楽しめるアップサイクル体験を各地に拠点を増やしながら、青く美しい海を100年後も残し続けていけるように海を守る活動を続けている。

bottom of page